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​日本産シリアゲムシ目昆虫
Japanese mecopteran insects

現在までに撮影した日本産シリアゲムシ目昆虫の写真を掲載します。今後、未撮影種の追加や各種の解説を加筆していく予定です。※シリアゲムシ類はオスの交尾器を比較しないと種同定が困難な種が多く含まれます。


​シリアゲムシ科
Panorpidae

​ヤマトシリアゲ
Mavropanorpa japonica (Thunberg, 1784)

前翅長: 13-20mm
分布: 本州,四国,九州
​体の大小,色彩,斑紋に変化が多く,季節による変化も著しい.低山に多く,4-6月と7-10月の2回発生であるが,北地では年1回と思われる.(写真は上がオス,右がメス)

​キバネシリアゲ
Mavropanorpa ochraceopennis (Miyake, 1910)

前翅長: 14-18mm

分布: 山形県以西の本州,四国,九州

​幅広い縁紋帯の内方に接して,前後に並ぶ2斑のあるのが普通であるが,縁紋帯が狭く (さらに外枝を欠く),その内方に斑紋のない場合がある.また翅は黄色を帯びることが多いが無色のこともある.したがってヤマトシリアゲに外観が酷似することもあり,正確な種同定にはオスの交尾器を比較する必要性がある.(写真は上がオス,右がメス)

マルバネシリアゲ
Mavropanorpa nipponensis (Navás, 1908)

前翅長: 14-20mm

分布: 青森県,山形県,福島県,新潟県,長野県,愛知県

​翅斑はヤマトシリアゲに似ており,メスではヤマトシリアゲと区別できない場合がある.翅紋・体色に多型があり,正確な種識別にはオスの交尾器を確認する必要がある.(写真は上がオス,右がメス)

ヒロオビシリアゲ
Mavropanorpa miyakei (Miyamoto, 1979)

前翅長: 約20mm

分布: 群馬県,栃木県,長野県,山梨県

​翅は褐色を帯び,単帯および縁紋帯はともにすこぶる広く,外枝を欠く.ヤマトシリアゲに似るが,雄の端子はまるく湾曲する.(写真は上がオス,右がメス)

​ミスジシリアゲ
Mavropanorpa trizonata (Miyake, 1908)

前翅長: 14-18mm

分布: 青森県から九州山地にかけて分布するが四国では発見できない

​和名の通り三本の翅斑が特徴的な山地棲のシリアゲムシ.体色は黒が多いが,赤褐のこともある.(写真は上がオス,右がメス)

​ツマグロシリアゲ
Mavropanorpa lewisi (MacLachlan, 1887)

前翅長: 16-20mm

分布: 栃木県,長野県,山梨県

​翅斑は端帯と縁紋部に小黒紋がある.大型でスレンダーなシリアゲムシ.亜高山域に棲息している.(写真は上がオス,右がメス)

​ババツマグロシリアゲ
Mavropanorpa babai (Miyamoto, 1979)

前翅長: 14-17mm

分布: 新潟県南部,長野県北部

​翅斑は端帯のみで,他に斑紋はない.ツマグロシリアゲとよく似ているが,縁紋部の小黒紋の有無で識別できる.亜高山域に棲息している.(写真は上がオス,右がメス)

イシハラシリアゲ

Mavropanorpa ishiharai (Miyamoto, 1994)

 

前翅長: 15-18mm

分布: 四国

​翅斑は極めて太い縁紋帯と端帯があり,通常は縁紋帯と端帯が接している.また,縁紋帯の後方下部にはスポット状に黒色が抜けている部分がある.四国の亜高山域に分布している.(写真は上がオス,右がメス)

​ハクサンホシシリアゲ
Calliopanorpa kagamontana (Miyamoto, 1978)

前翅長: 11-16mm

分布: 長野県,石川県,新潟県

​美麗種.近縁種のニッコウホシシリアゲと似ており,分布域も重複していることから正確な種識別にはオスの交尾器形態の比較が必要.(写真は上がオス,右がメス)

ニッコウホシシリアゲ
Calliopanorpa nikkoensis (Miyake, 1908)

前翅長: 14-18mm

分布: 栃木県,長野県,山梨県,愛知県

​美麗種.近縁種のハクサンホシシリアゲと似ているが,前種と比べて体サイズがやや大きい.しかし,分布域も重複していることから正確な種識別にはオスの交尾器形態の比較が必要.(写真は上がオス,右がメス)

​ホシシリアゲ
Calliopanorpa takenouchii (Miyake, 1913)

前翅長: 11-17mm

分布: 三重県以西の本州,四国

​九州を除く西日本に分布しているホシシリアゲ種群の仲間.ハクサンホシシリアゲやニッコウホシシリアゲとは異なり,止まった際に翅が屋根型にはならない.(写真は上がオス,右がメス)

​キュウシュウホシシリアゲ
Calliopanorpa dichotoma intermedia (Miyamoto, 1977)

前翅長: 13-17mm

分布: 熊本県,宮崎県,鹿児島県

​九州の南部に分布しているホシシリアゲ種群の一種.翅斑はホシシリアゲのものに似るが,縁紋帯は外枝と結合しており,内枝とは分離している.(写真は上がオス,右がメス)

​オオハサミシリアゲ
Panorpa bicornuta MacLachlan, 1887

前翅長: 14-16mm

分布: 山形県,新潟県,富山県,石川県,長野県

​翅端の円状紋,縁紋部の三角状帯 (後縁に達する場合もある),翅の基半部前縁に沿う暗色条が著しいが,さらに数個の小斑の現れるものがある.オス第7腹節の両側突起の先端は尖る.亜高山域に棲息している.(写真は上がオス,右がメス)

ハクサンシリアゲ
Panorpa hakusanensis Miyake, 1913

前翅長: 15-17mm

分布: 新潟県,富山県,石川県,長野県

​オオハサミシリアゲに酷似しているが,翅斑は小斑紋が多い.また,オス第7腹節の両側突起の先端はまるい.亜高山域に棲息している.(写真は上がオス,右がメス)

​シバカワトゲシリアゲ
Panorpa arakavae Miyake, 1913

前翅長: 12-16mm

分布: 新潟県,富山県,岐阜県,長野県,栃木県

​外枝をもった細い縁紋帯 (逆Y字形) とその内・外方に数個の小暗紋をもったものから,いろいろな程度に斑紋を消失するものまで斑紋に変化が多い.比較的標高の高い山地に棲息している.(写真は上がオス,右がメス)

Female  

​ホソオビトゲシリアゲ
Panorpa miyakeiella Miyamoto, 1985

前翅長: 13-15mm

分布: 岩手県,山形県,福島県,新潟県,群馬県

​縁紋帯に外枝を欠き,内方には2つの小紋,あるいはそれらが合一した1つの小紋がある.翅の内帯より基部は黄色味を帯びている.シバカワトゲシリアゲに似ているが,翅の斑紋が少ない.(写真は上がオス,右がメス)

キシタトゲシリアゲ
Panorpa fulvicaudaria Miyake, 1913

前翅長: 12-16mm

分布: 山形県以西の本州,四国,九州

​体は黒色であるが,第7腹節以下は黄褐色.翅は微かに黄色を帯び,外枝のない細い縁紋帯がある.翅端近くに小暗紋をもつものもあるが,縁紋帯内方に暗紋​を欠く.(写真は上がオス,右がメス)

マエフタスジトゲシリアゲ
Panorpa gokaensis gokaensis Miyake, 1910

前翅長: 14-17mm

分布: 九州

九州の標高1000m付近の山地に生息する比較的大型のトゲシリアゲ.前翅縁紋帯の基方に明瞭な内帯をもつ.四国に分布するヒトスジトゲシリアゲの原名亜種.(写真は上がオス,右がメス)

ヒトスジトゲシリアゲ
Panorpa gokaensis togephora Miyamoto, 1984

前翅長: 12-15mm

分布: 四国

​九州に分布するマエフタスジトゲシリアゲの四国亜種.体長や生息環境などは前種とあまり変わらないが,前翅縁紋帯内方に条斑を欠く.(写真は上がオス,右がメス)

プライアシリアゲ
Panorpa pryeri McLachlan, 1875

前翅長: 13-19mm

分布: 本州,四国,九州

​翅斑は典型的であるが,発達の程度に変化が多い.低山で多く見かけるが,比較的標高の高い山でもしばしば採集されることがある.(写真は上がオス,右がメス)

ニセミスジシリアゲ

Panorpa globulifera Miyamoto, 1994

 

前翅長: 15-18mm

分布: 四国

​翅斑はミスジシリアゲに似ているが,系統的にはプライアシリアゲに近縁である.四国でも比較的標高の高い山地で採集されるが,個体数は極めて少ない.(写真は上がオス,右がメス)

キアシシリアゲ
Panorpa wormaldi McLachlan, 1875

前翅長: 12-15mm

分布: 神奈川県,長野県,奈良県

​翅の逆Y条は2つ.オスの腹端節の腹側中央部は黒褐色.ミヤケシリアゲ,ホソマダラシリアゲと似ているが,頭部・腹部の色や翅斑パターンを比較することで同定が可能.(写真は上がオス,右がメス)

ミヤケシリアゲ​
Panorpa tsunekatanis Issiki, 1929

前翅長: 12-15mm

分布: 新潟県南部,富山県,石川県,長野県,山梨県,愛知県

​オス腹部は末端節まで暗褐色.翅斑はキアシシリアゲのものに似るが,前縁に沿う縦条は縁斑と縁紋の間で切断され,縁紋帯外方の条斑の発達が悪い.(写真は上がオス,右がメス)

ホソマダラシリアゲ​
Panorpa multifasciaria Miyake, 1910

前翅長: 12-16mm

分布: 富山県,岐阜県,長野県,兵庫県,広島県

中部地域から中国地方までの広域に分布しているキアシシリアゲ種群の一種.翅斑は細かくて多いが,逆Y字条を欠く.(写真は上がオス,右がメス)

スジシリアゲ​
Panorpa striata Miyake, 1908

前翅長: 12-14mm

分布: 四国

​四国固有のキアシシリアゲ種群.翅の逆Y条は2個で,オスの腹部7・8​節は暗褐色.(写真は上がオス,右がメス)

キュウシュウマダラシリアゲ​
Panorpa kiusiuensis Issiki, 1929

前翅長: 12-16mm

分布: 九州

​九州固有のキアシシリアゲ種群の一種.ホソマダラシリアゲに似ているが,翅斑が少ない.(写真は上がオス,右がメス)

​アマミシリアゲ
Panorpa amamiensis Miyamoto et Makihara, 1984

前翅長: 11-14mm

分布: 奄美大島

​翅は半透明で美麗.翅の縁紋部には小三角紋がある.小型のシリアゲムシで奄美大島の山域,林道で普通に見られる.(写真は上がオス,右がメス)

​トクノシマシリアゲ
Panorpa tokunoshimaensis Nakamura, 2009

前翅長: 12-13mm

分布: 徳之島

​徳之島固有でアマミシリアゲと極めて似ているが,交尾器形態の違いから2009年に新種記載された.アマミシリアゲと同様に美麗なシリアゲムシである.徳之島の山地林道で普通に見られる.(写真は上がオス,右がメス)

オキナワシリアゲ
Panorpa okinawaensis Nakamura, 2009

前翅長: 11-13mm

分布: 沖縄島

​沖縄島 (やんばる) 固有でアマミシリアゲと極めて似ているが,交尾器形態の違いから2009年に新種記載された.アマミシリアゲと同様に美麗なシリアゲムシである.アマミシリアゲやトクノシマシリアゲに比べて稀である.(写真は上がオス,右がメス)

イシガキシリアゲ​
Neopanorpa subreticulata Miyamoto et Makihara, 1979

前翅長: 9-12mm

分布: 石垣島,西表島

​翅は強く黄色を帯び,網目状に連なった褐色斑がある.オスの第3腹節背板後端に長い棒状突起があり,第7腹節に達する.日本唯一のミナミシリアゲ属.(写真は上がオス,右がメス)

シリアゲモドキ科
Panorpodidae

​スカシシリアゲモドキ (普通型)
Panorpodes paradoxa McLachlan, 1875 (General type)

前翅長: 12-17mm

分布: 本州,四国,九州

​翅は灰黄色半透明で,オスは無斑.メスの翅は無斑の他にいろいろな程度の暗色斑をもつものがあり,体色はオレンジ色が基本であるが,黒色が入るものなど様々なバリエーションがある.(写真は一番上がオス,その他はすべてメス)

​スカシシリアゲモドキ (高山型)
Panorpodes paradoxa McLachlan, 1875 (Alpine type)

​青森県八甲田山および中部山岳域においては,「普通型」の分布域よりも高標高域でオスの翅に雲状紋があり,メスの翅長が短くなる「高山型」が出現する.(写真は上がメス,右がオス)

ヒメシリアゲモドキ
Panorpodes pulchra Issiki, 1927

前翅長: 11-14mm

分布: 四国,九州

小型のシリアゲモドキで標高1000m付近より上で確認される.腹部は先端2・3節を除いて黒色.雄の翅は無斑であるが,雌では縁紋部に小暗紋をもつもの,ときに翅全体に不明瞭な雲状紋をもつものがある.(写真は上がオス,右がメス)

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ウスオビシリアゲモドキ
Panorpodes pennyi Nakamura, Bicha & Saigusa, 2019

前翅長: 13.4-16.3mm

分布: 四国

スカシシリアゲモドキやヒメシリアゲモドキと同所的に生息していることがあるが,雌雄ともに翅紋が発達しているので識別が可能.四国には他にもオスの翅に明瞭な翅紋が入る種が分布するが,本種は胸部側板と胸脚基節が黄色であることから判別することができる.(写真は上がオス,右がメス)

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フトオビシリアゲモドキ
Panorpodes fasciata Nakamura, Bicha & Saigusa, 2019

前翅長: 13.6-16.1mm

分布: 四国

翅紋がウスオビシリアゲモドキに似るが,ウスオビシリアゲモドキと比較すると体色は褐色が強く,体格も大型である.胸部は黒褐色となっており,ウスオビシリアゲモドキと識別が可能である.(写真は上がオス,右がメス)

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アシズリシリアゲモドキ
Panorpodes subtropica Nakamura, Bicha & Saigusa, 2019

前翅長: 14.2-14.8mm

分布: 四国

足摺岬周辺のみに生息する.フトオビシリアゲモドキに少し似ているが,体色は赤褐色で,オスの翅紋はフトオビシリアゲモドキほど発達していない.生息地では比較的,個体数が多い.(写真は上がオス,右がメス)

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キイロシリアゲモドキ
Panorpodes gilva Nakamura, Bicha & Saigusa, 2019

前翅長: 10.0-10.8mm

分布: 四国

小型のシリアゲモドキで,鮮やかな黄色い体色の美しいシリアゲモドキ.翅長よりも長い触角が特徴で,体色や触角の長さを比較することで同所的に生息するよく似たシリアゲモドキ類との識別することができる.(写真は上がオス,右がメス)

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ガガンボモドキ科
Bittacidae

ガガンボモドキ
Bittacus nipponicus Navás, 1909

前翅長: 20mm内外

分布: 関東,長野県

​関東地方では普通種だが,長野県ではレッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されている.(写真は上がオス,右がメス)

キアシガガンボモドキ
Bittacus laevipes Navás, 1909

前翅長: 18-20mm

分布: 本州北部〜九州南部

やや大型のガガンボモドキで,本州と九州の山地に広く分布する.トガリバガガンボモドキによく似ているが,オスの交尾器形態で容易に識別できる.(写真は上がオス,右がメス)

トガリバガガンボモドキ
Bittacus mastrillii Miyake, 1913

前翅長: 22mm内外

分布: 関東,長野県,山梨県

やや大型のガガンボモドキで,各腿節の先端部は明瞭に黒色であるほか,頭部および胸部の黒色も目立つ.また,翅の横脈周辺がわずかに暗色を帯びることがある.山地棲.(写真は上がオス,右がメス)

イッシキガガンボモドキ
Bittacus issikii Miyamoto, 1979

前翅長: 19.5-20.5mm

分布: 近畿,中国地方,淡路島,四国

オスの後肢腿節内側の剛毛の有無によって分布域がオーバーラップするキアシガガンボモドキと容易に識別することができる.ガガンボモドキよりもやや小型で体色は淡い.(写真は上がオス,右がメス)

クロヒメガガンボモドキ
Bittacus takaoensis Miyake, 1913

前翅長: 16-18mm

分布: 東北,関東,新潟県,長野県,山梨県

小型のガガンボモドキで,胸部及び腹部背面が黒いことで他種と区別することができる.ただし,本種には近縁な未記載種が複数存在するとの指摘があり,それらとの区別はオスでなければ困難 .(写真は上がオス,右がメス)

ヒラアシヒメガガンボモドキ
Bittacus tarsalis Miyamoto, 1984

前翅長: 15-17mm

分布: 鳥取県,広島県,福岡県,熊本県

小型のガガンボモドキで,オスの第一後跗節の中央が扁平になっている.鳥取県と兵庫県の県境にある扇ノ山には近縁種のサイグサヒメガガンボモドキも棲息しているが,本種の方が棲息する標高が低いようである .(写真は上がオス,右がメス)

ユキシリアゲ科
Boreidae

エゾユキシリアゲ
Boreus jezoensis Hori & Morimoto, 1996

体長: 3–6mm
分布: 北海道
​記載論文では7月に採集されているが,初冬の雪が降り始めたくらいの時期が最も採集に適していると思われる.標高 1,000m 以上の山地に生息し,コケ上で生活しているものと考えられる.翅は退化的であるがノミ類のように飛び跳ねる.(写真は上がオス,右がメス)

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